アメリカ株式指標と上場企業をリアルタイムにチャートで表示。 money box. 1971年に発足したNasdaqは、店頭銘柄気配自動通報システムとしての機能を提供しながら、OTC市場で取引されていた非上場株等の気配値を表示し通知する株式市場として大きく成長を遂げました。Nasdaqで取引される銘柄は発足当初は約2300銘柄でしたが、約10年後の1980年末には3000銘柄を超え、登録銘柄の時価総額も1980年末時点で687億ドルとなり、NYSEの3,978億ドルには及ばないものの、国法証券取引所であるAmerican Stock Exchangeの348億ドルを凌駕する規模にまで成長しました。, Nasdaqの取引規模が拡大し、国法証券取引所と肩を並べる規模となったことから、アメリカ国内で外国企業(foreign private issuer:FPI)に対しても国内企業と同様の開示を求めるべきだという考えが広まってきました。また、前述のように、Nasdaq設立当初は、取引に際して発行会社の同意は不要であり、そのため発行会社が意図していないにもかかわらず自社の株(ADR)がいつの間にかアメリカで流通しているということが起こっていました。そのような自発的ではない証券登録に伴いSEC登録を求めるのは難しいという考えが当初はありましたが、1983年時点では既に発行会社の同意無くNasdaqで取引を行うことは認められなくなっていたため、Nasdaqで取引されるということは、発行会社が自発的に米国証券市場へアクセスしていると理解できるようになっていました[i]。, このような背景から、1983年10月5日にSECはルール12g3-2の改正を行い、その日以降にNasdaqに上場されるFPIに対しては、ルール12g3-2(b)の適用によるSEC登録免除を認めず、アメリカ企業と同じように取引所法12条(g)項に基づくSEC登録と継続開示義務等が課されることになりました。なお、この変更はNasdaq上場会社に対して行われた変更であり、OTCであるピンクシートで取引されているだけのFPIには、引き続きルール12g3-2(b)の適用によるSEC登録免除を認めることとされました。つまり、(少なくともFPIにとっては)それまではNasdaqはOTCと同じ取扱いであったものが、この日以降は、国法証券取引所ではないものの、OTCとは別の、証券取引所に“準ずる”株式市場として位置づけられることとなったと考えてよいと思います。, このルール改正はアメリカ国内でかなりの反対があったそうです。公開草案に対するパブリックコメントは賛成26に対して反対は133に上り、このルール改正の結果、多くのFPIはNasdaqをやめてOTCに移ってしまい、結果としてFPIによる情報開示の後退や、投資家からの信頼の低下を引き起こすというような懸念が挙げられていました[ii]。そのためSECはこのルール改正に際してグランドファーザー条項(既得権者除外条項)を盛り込むことにしました。つまり、このルール変更以前からNasdaqで取引されている(カナダを除く)外国企業については、新ルールの適用を無期限に延期するという便宜が図られたのです。, このルール変更の通達にはその様な(カナダを除く)外国企業が102社リストアップされており、その中にはキヤノン、ダイエー、富士フォトフィルム(富士フイルム)、日立(負債証券)、イトーヨーカドー、JAL、キリン、マキタ、丸紅、三井物産、NEC、日産、リコー(負債証券)、三洋電機、資生堂、東京海上火災、トヨタの日本企業17社が含まれています。日立とリコーはADRではなく負債証券の取引なので、この中でNasdaq企業と呼べるのは15社となるのですが、一方でこのリストにはなぜかワコール(1977年登録)とCSK(1983年8月登録)の2社が記載されていません。両社とも1983年10月5日時点ではNasdaqにおいて取引されていたのは間違いないので、結果として17社のADRが1983年10月時点でNasdaqに上場されていたようです。そしてこれらの会社の多くはグランドファーザー条項を適用して、SECへの登録を行わないまま1983年以降もNasdaqへの上場を続けました。, 日本企業にとっては、この1983年のルール変更はNasdaqという株式市場の位置づけを決定的に変更するものとなりました。これ以降Nasdaqに上場するためには、外形基準を満たせばという条件付きですが、SEC登録と継続開示義務等を負うことになり、NYSEなどの国法証券会社に上場することと実務的にはほとんど変わらなくなりました。したがって、1983年以降Nasdaqで自社株がNasdaqで取引された会社は、本文中ではあえてNasdaq「上場」企業と表現したいと思います。, SECのルール改定によりNasdaq上場のためにSEC登録が必要となった1983年10月以降は、日本企業がNasdaqを目指す動きは沈静化しました。これはルール改正の影響もあったと思いますが、実はNYSEも同様の状況で、バブル期は日本の証券市場に勢いがあり、わざわざアメリカを目指すというインセンティブが乏しかったのではないかと思います。, 1983年以降最初のNasdaq上場となったケースは1996年のサワコーで、その後1999年にはトレンドマイクロとIIJが、翌2000年にはクレイフィッシュとクロスウェーブがNasdaq上場企業となっています。Nasdaqは1999年から2000年にかけていわゆるITバブルの影響で相場が大きく上昇し、日本企業だけでなく世界中から多くの企業がこの時期に上場を果たしています。, 一方で、2001年にかけてITバブルは崩壊し、ネットベンチャーの旗手ともてはやされたクレイフィッシュは経営混乱により上場廃止、クロスウェーブも会社更生法を申請し上場廃止、とネガティブなニュースが続いてしまいました。, 更に転機となる出来事が2006年に起こりました。Nasdaqによる国法証券取引所への登録です。これに伴いNasdaqは公式にNYSEと全く同等の証券取引所となりました。そして、これまでルール12g3-2(b)の適用がグランドファーザー条項により認められてきたケースが、Nasdaqが国法証券取引所になったことに伴い、国法証券取引所においてSEC登録の無い証券の取引を禁じる取引所法12条(a)項の規程に抵触することになってしまいました。そのため国法証券取引所への上場に伴うSEC登録を規定している取引所法12条(b)項に基づくSEC登録が必要となってしまったのです。, この時点でSEC登録を行わないままNasdaqに上場を続けていた日本企業はダイエー、富士フイルム、日産、キリン、三洋電機の5社でした。この5社に対しては3年間の猶予が与えられ、Nasdaqへの上場継続を希望する場合には、その間に取引所法12条(b)項に基づくSEC登録を準備することができるという便宜が図られました。しかしながら、結果的にはこの5社すべてSEC登録を行なわずNasdaqからの上場廃止を選択しました。, また、NYSEと同様の話ですが、2001年に起こったエンロン事件と、それを受けて2002年にサーベンス・オクスリー法(SOX法)が成立してから、SOX法により米国上場企業には内部統制監査が義務付けられることとなり、その対応への負担の大きさが問題となっていました。さらに2007年にSECのルールが改正され、日本企業が米国証券取引所から上場廃止を行い、SEC登録を抹消することが比較的簡単にできるようになりました。結果として東京海上やトレンドマイクロ、また別の理由ですがNECも2007年にNasdaq上場を廃止し、その後2011年に三井物産が、2013年にマキタとワコールがNasdaq上場を廃止しました。その後、冒頭のように2013年にUBIC(現FRONTEO)が久しぶりのNasdaq上場会社となり、現在IIJとFRONTEOの2社がNasdaq上場を継続している日本企業となっています。, (2018年10月追記)さっそく2018年9月にいきなり!ステーキを運営する株式会社 ペッパーフードサービスがNasdaq上場を果たしました。このため、2018年10月以降のNasdaq上場を継続している日本企業は、IIJ、FRONTEO、ペッパーフードサービスの3社となっています。, (2019年5月追記)IIJは2019年4月にNasdaq上場廃止をしました。このため、2019年4月以降のNasdaq上場を継続している日本企業は、FRONTEO、ペッパーフードサービスの2社となっています。, (2019年11月追記)ペッパーフードサービスは2019年7月にNasdaq上場廃止をしました。このため、2019年7月以降のNasdaq上場を継続している日本企業は、FRONTEOの1社となっています。, (2020年2月追記)FRONTEOは2020年2月にNasdaq上場廃止をしました。このため、2020年2月以降のNasdaq上場を継続している日本企業は、0社となっています。, 2013年に久しぶりにUBIC(現FRONTEO)がNasdaq上場を果たしたのを契機に、日本企業のなかでNasdaqに関する関心が高まっているようです。特に、時価総額数千億円という大企業ではなく、どちらかと言えばベンチャーに近いUBICが上場を果たしたことは、これまでNasdaqを身近に感じる機会が少なかった日本のベンチャー企業にNasdaq上場を考える契機となったといえると思います。現在Nasdaqや弁護士、監査法人にもNasdaq上場に対する問い合わせが以前と比べて多く入っているようです。, 当社でも今年になり数社からNasdaq上場に関するお問い合わせを頂戴しております。日本企業、特に志の高いベンチャー企業がNasdaq上場を目指す際にはぜひお手伝いをしていきたいと考えております。, 最後になりますが、本稿の執筆にあたり成蹊大学の湯原心一先生のディスカッションペーパー「米国の証券登録義務」を参考にさせて頂き、また先生には細部にわたりご指導いただきました。この場を借りて御礼申し上げます。, [i] 83-58 SEC Rule Change Relating to Foreign Securities in NASDAQ, [ii] Patrick Merloe, INTERNATIONALIZATION OF SECURITIES MARKETS: A CRITICAL SURVEY OF U.S. AND EEC DISCLOSURE REQUIREMENTS, 83-58 SEC Rule Change Relating to Foreign Securities in NASDAQ, SECルール変更:売上$100 million未満の会社は内部統制監査(SOX監査)が不要に. Securities and Exchange Commission:SEC)が1934年に設立されました。その結果、アメリカにおいて、証券取引所(正確には取引所法第6条に基づきSECに登録されている国法証券取引所:national securities exchange)に上場される証券の発行者は、SECに登録することが義務付けられました。, 一方で、SEC登録はあくまでも国法証券取引所に上場する会社だけが対象であり、ピンクシート等の店頭取引(OTC)銘柄についてはSEC登録も継続開示義務もありませんでした。OTCの取引量が拡大するにつれ、上場企業とOTC企業(1963年当時で約3500社あったといわれています[i])の間の情報開示レベルの差が問題視されるようになり、その結果1964年に証券法及び取引所法が改正され、取引所法12条(g)項が新設されました。この取引所法12条(g)項によりOTCで取引されるような非上場会社に対しても、一定の規模、具体的には100万ドル以上の総資産及び500人以上の株主という外形基準[ii](当時)を上回る会社については、SECへの登録(および継続開示等)が義務付けられることになりました。, 一方で、このような外形基準によるSEC登録の義務化を外国企業(foreign private issuer:FPI)に対しても課すことに対しては懸念があったようで、取引所法改正の際に、FPIについては例外規定を設けることが認められ、1967年に取引所法ルール12g3-2が定められました。このルール12g3-2により、日本企業を含むFPIは、一定の要件を満たせば、取引所法12条(g)項によるSECへの登録及び継続開示等の義務が免除されることとなりました。, Nasdaqが発足したのは1971年ですが、Nasdaqは国法証券取引所ではありませんでしたので、Nasdaqでの取引は証券法及び取引所法上は証券取引所の上場にはあたりませんでしたので、Nasdaqで取引されたとしても上場に伴う(取引所法12条(b)項に基づく)SECへの登録は必要ありませんでした。一方、Nasdaqが発足した1971年時点では既に取引所法12条(g)項は制定されていたので、外形基準を満たすアメリカ企業はSEC登録が必要とされていました。しかしFPIに対してはルール12g3-2によって取引所法12条(g)項に基づくSEC登録が免除されていたため、日本企業はNasdaqで取引されてもSEC登録をする必要がありませんでした。その結果、1970年代にNasdaqで自社株(ADR)が取引されていたほとんどの日本企業はSECへの登録をする必要がなく、実際にSECへの登録を行いませんでした。, 更に、これは証券法や取引所法とは別の話ですが、発足当時のNasdaqにおいては、発行会社の同意なく証券会社等が勝手に当該会社の株(ADR)をNasdaqに登録することが可能でした。そのため、富士フイルムやJALのように、自社が企図していないにも関わらずいつの間にかNasdaq会社となっていたケースが多くありました。, このように70年代のNasdaqに関しては制度的にも未成熟で、いろいろな矛盾を抱えていたようです。しかしながらNasdaqが提供した取引システムは証券市場において欠かせないものとなりつつあり、Nasdaq市場における取引は拡大を続けました。Nasdaqが取引所として成熟してゆくにつれ、SECはこのような状況を問題視し始めました。, 詳しくは分からないのですが、遅くとも1983年までには、発行会社の同意を得ずに勝手に当該会社の証券をNasdaqで取引することは出来なくなっていました[iii]。これは完全に憶測なのですが、Nasdaqの記録によるとホンダ、関西電力、京セラ、松下電器、パイオニア、東芝の各社は1981年11月22日に一斉にNasdaqでの取引が停止されているので、このころにルール変更があったのかもしれません。, 更に転機となったのが1983年10月5日にSECから出されたルール12g3-2の改定です。この日を境に日本企業にとってNasdaqで自社株(ADR)が取引されるということは、それまでとは完全に性格の異なるものとなりました。, [i] RICHARD M. PHILLIPS AND MORGAN SHIPMAN, An Analysis of the Securities Acts Amendments of 1964, [ii] 厳密には、1966年6月末までは時限的に750人、それ以降は500人とされていました。, [iii] 83-58 SEC Rule Change Relating to Foreign Securities in NASDAQ, 83-58 SEC Rule Change Relating to Foreign Securities in NASDAQ, SECルール変更:売上$100 million未満の会社は内部統制監査(SOX監査)が不要に.

ドラゴンクエスト ビルダーズ2 英語 版, メガビッグ 配当金, 大川家具 大阪, ナツッジ ニトリ 評判, Android 電話帳 保存先, 岩佐美咲 鯖街道, 似ている 英語 Take, Speed Wi-fi Home L02 レンタル, Charles & Keith どこのブランド, 中古 飲食店用 椅子 テーブル, ヒカル 音楽, ニトリ 脚付きマットレス 処分, 合コン後 Line 女性から, レイジュ サンジ イチジ, 50代女性 魅力, 男性アーティスト 人気曲, ワークマン カッパ 上下, オクトパス トラベラー 覇者, 山田葵 イラスト, 警視庁捜査一課9係 小宮山 村瀬 関係, ヨコハマタイヤ ホイール, ダイニングチェア 回転 デメリット, 女性ボーカル 名曲, 2ch 勢い, 大江裕 さんま, Uqモバイル 通信量 おかしい, ニトリ 店員 クレーム, 玉置 浩二, レガリア アリア, Iphone Simなし アクティベート, ゆうかん 深イイ, Iphonese 第二世代, Au ホームルーター 無制限, ワンパンマン 130話 感想, 海外 ユーチュー バー ランキング, Gwent カードリスト, この映画は10年前に作られました 英語, ベッド処分 解体, ヤマダ電機 コールセンター 評判, オクトパストラベラー ガルデラ 強い, 坂本冬美 曲, アーロンチェア 大塚家具 値引き, 信濃川 千曲川 なぜ, エアコン 専用回路 工事費, 長谷川勇也 コロナ, 玉置浩二 年収,